子供の健全な発達とは?⑤ ~親のありかた その2~
前回、子どもの健全な発達のためには親自身の在り方が重要であるとお話ししました。
もう一つのポイントは家庭が安定していることです。
家庭が安定していないと、家庭内の空気がピリピリと緊張したものになります。
子供はその空気を敏感に感じ取ります。
では、家庭が安定しているとはどういうことでしょうか。
家庭が安定しているとは、夫婦仲が良いということです。夫婦仲が良いといっても、ベタベタしていることではなく、お互いの距離がちょうど良く、お互いの役割を認識できているということです。
a、お互いの役割を認識する
お互いの役割とはなにかというと、子供の発達には家庭の中に母性性と父性性があるということが大切なのです。お互いがこの役割を担うことです。
母性性というのは母なるものです。
母性というのは、簡単に言えば受容性や優しさの象徴です。
子供は生まれてすぐの母親とのふれあいの中で基本的な信頼感を育みます。これは健全な人格形成の基礎の部分となります。
そして父性性というのは、父なるものです。
母性性が優しさの象徴であるのに対し、父性性は厳しさの象徴です。
母子間で出来た基本的信頼感というのは母子カプセルの中で作られる縦の関係です。この縦の関係にメスを入れて横の関係に目を向けさせるものが父なるものの役割なのです。母子の狭い世界だけではなく、社会の広い世界に目を向けさせることです。
このような厳しさが家庭の中で身についていると、子供は困難に直面したときに、耐えたり、主張したり責任感を持つということができるようになります。
一人親の場合は、子どもを育てる父親なり母親が、自分の中にある母性と父性を時と場合によって使い分ける必要があります。
また、母親が父性を、父親が母性を担っても良いのです。ただ、この両方が家庭の中にあるということが重要なのです。
最近は積極的に子育てに参加するお父さんも増えていますが、2人とも母性的で家庭に父性がないと子供は家庭から社会に出て行くパワー、困難を乗り越えるパワーがなく引きこもってしまうこともあります。
また2人とも父性的で家庭に母性がないと、子供にとって逃げ道がなくなってしまいます。これでは、子供の心にゆとりが育ちません。ゆとりがないと、自分にも他人にも厳しすぎて、ギスギスした人間関係しかもてない、ということになってしまいます。
だから、大切なのは母性と父性のバランスなのです。
b、夫婦でコミュニケーションを取る
そのためには、家庭の方針を決めて、夫婦でコミュニケーションを取りながら役割を持って子育てすることです。
夫婦は性別も育った環境も違うので、ものの感じ方や考え方が違うのは当たり前です。だからこそ、コミュニケーションを取らないとうまくいきません。
コミュニケーションは時間の長さではなく、深さなのです。短い時間でも深い話が出来れば良いのです。では深い話というのはどういうものかというと、事柄ではなく「気持ちを聞き合うこと」が大切なのです。
「こういうことがあって、私はこう感じたんだけど、あなたはどう感じる?」
「みんなはこう言ってるんだけど、私はこう思う。あなたはどう思う?」
このような話し方、聞き方です。
そして、相手の気持ちを受容、共感することです。
「それは辛かったね、大変だったね」と受け止めることです。人は事柄の奥にある気持ちを聞いてもらえると、「わかってもらえた」という気持ちになり、心を開きます。
意見が違う場合は「あなたの気持ち、よくわかるよ。ただ、私はこんな風に思うんだけどどうかな?」
このように、一度受け止めてから自分の意見を言うことです。
見てきた通り、子供の健全な成長のためには、親の在り方は大きな影響を与えます。
親は子育てを通じで、自分のあり方や夫婦のあり方を振り返り、子供と共に成長していくことが大切なのではないかと思います。
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